地域の交流人口増加・消費拡大への一手になりうる
グリーンツーリズムの現状と課題
かつては農業や漁業で賑わっていたものの、少子高齢化や都市部への人口流出などにより経済危機に面している地域は少なくない。一方で近年は「モノからコト」へと消費トレンドが移り、旅行業界でもその土地ならではの体験や食に対する需要は高まっている。農業体験や地産食材を旅行者に提供するグリーンツーリズムが、地方の農山漁村の活性化に果たせる役割は大いにあるだろう。しかし従来のグリーンツーリズムは旅行商品として未熟な部分もあった。旅行者視点の課題は、体験プログラムの情報収集や手配が困難な点、旅行商品としての魅力不足が挙げられる。受け入れ側に立つと、運営体制の整備や商品造成が課題だった。両者が抱える課題の原因は、受け入れ事業者が基本的には観光のプロではないことが大きい。農家などの受け入れ先は本業が別にあり、予約受付や旅行者の対応、商品造成に慣れておらず十分に手をかける余裕もない。そこで旅行者と受け入れ先を橋渡しする中間事業者(観光協会やグリーンツーリズム協議会、旅行会社など)によるサポートが求められるが、関係組織が多岐にわたり連携が困難な状況。連携不足ゆえ、情報発信が手薄になる問題も起こる。